改正建築士法、設計・工事監理の書面契約が2027年4月に全面義務化へ
改正建築士法の施行日が2027年4月1日に決まり、設計・工事監理の契約が面積を問わず書面契約の対象になります。見積書の努力義務とあわせて整理します。
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ニュースの概要
国土交通省は 2026年10月6日、改正建築士法の施行日などを定める政令を閣議決定したと発表しました。建築士が行う設計と工事監理の契約すべてで、書面での契約が義務になり、契約時に見積書を作るよう努める「努力義務」も設けられます。政令は 10月9日に公布される予定で(報道発表の記載)、施行日は 2027年4月1日(令和9年4月1日)です。
家づくりを考えている人にとっては、設計事務所や工務店に設計を頼むときの契約の進め方に関わる変更です。建築の規制や手続きの基本は、建築確認申請とは|流れ・期間・検査・確認済証と検査済証の役割で整理しています。
何が変わるのか
国土交通省の報道発表と、改正法の概要資料から確認できた内容は次のとおりです。
- 背景: 2026年7月31日に「建築士法の一部を改正する法律(令和8年法律第74号)」が公布された。建築士の高齢化が進む中での将来の担い手の確保と、契約の適正化が目的とされている
- 書面契約の対象の拡大: 現行は、2014年(平成26年)の建築士法改正により、300㎡超の新築などの設計・工事監理の契約が書面契約の対象になっている。改正後は、面積を問わず、建築士が行う設計または工事監理の委託を受けるすべての契約(設計受託契約・工事監理受託契約)に広がる
- 見積書: 建築士事務所の開設者に、見積書の作成について努力義務を課す。あわせて、契約の当事者は、契約の締結にあたり見積書の内容などを考慮するよう努めるものとされている
- 施行日: 契約の適正化に関する規定は、法の公布から 1年を超えない範囲で政令で定める日に施行される(概要資料の記載)。今回の政令で、その日を 2027年4月1日と定めた
閣議決定されたのは、「建築士法の一部を改正する法律の一部の施行期日を定める政令」と、「建築士法施行令の一部を改正する政令」(施行に伴う必要な整備)の 2本です。
改正法には、契約の適正化のほかに、将来の建築士を確保するための見直しも含まれています。概要資料によると、在学中に建築士試験を受けられるようにする、建築学科などを卒業していない人が二級・木造建築士を目指す場合の実務経験の要件を緩める、二級建築士から一級建築士を目指すときの実務経験の要件を見直す、といった内容です。こちらの施行時期は、契約の規定とは別に定められています(概要資料に 3年と 1年の 2つの期間が並べて記載されていますが、どちらがどの項目にあたるかは、今回確認した資料の範囲では明記を確認できませんでした)。
読者への影響
この改正で影響を受けやすいのは、次のような人です。
- 注文住宅を建てる人: 建築士に設計を依頼するとき、規模の小さい住宅でも、書面で契約を結ぶことが前提になります。
- リフォームや増改築を考えている人: 建築士が設計や工事監理を行う場合、面積を問わず書面契約の対象になります。
- 建築士事務所の側(設計事務所や、建築士事務所として登録している工務店など): 契約書面の整備と、見積書の作成が実務の課題になります。
注意したいのは、施行日が 2027年4月1日である点です。報道発表や概要資料には、施行前後にまたがる契約の扱い(経過措置)の細かい説明は載っていません。施行日の前後にまたがる契約は、依頼する事務所や、施行期日令の要綱など添付の公式資料で確かめる必要があります。
また、見積書は「作るよう努める」努力義務とされていますが、条文上の細かい扱いは、今回確認した資料の範囲では確認できていません。
確認すること
- 国土交通省の報道発表ページで、政令の要綱・案文・新旧対照条文(PDF)を原文で読む。
- 設計や工事監理を頼む予定の事務所に、契約書面の内容(業務の範囲、報酬、期間、変更時の扱い)をどう整えるのかを聞く。
- 契約の前に、見積書で費用の内訳が示されているかを確認し、内容に不明点があれば説明を求める。
- 契約のタイミングが 2027年4月1日の前か後かで、手続きの扱いが変わるかどうかを、事務所に確かめる。
- リフォームで建築士に依頼する場合も、対象になる可能性があるため、契約の形式を事前に確認する。
筆者の見解
この改正の要点は、「小さな設計や工事監理でも、書面で契約内容を確かめられる」点にあると考えます。これまで書面契約の義務の対象は 300㎡超の新築などに限られていましたので、面積を問わず書面が求められることで、小規模な案件でも契約の内容を確認しやすくなる意義があります。
一方で、書面があれば安心というわけではありません。見積書については、事務所側の作成の努力と、契約の当事者双方が内容を考慮する努力が明記されましたので、依頼する側も内訳を確かめる姿勢が求められると考えます。詳しい内訳が示されない場合は、遠慮せずに質問するのがよいでしょう。経過措置など、確認できなかった部分は、施行期日令の要綱などの添付資料と、今後の公式の案内で確かめてください。
出典(一次情報)
2026年10月11日時点の情報です。
本記事は一般的な情報の提供を目的としており、個別の設計・契約・税務・法律上の助言ではありません。制度や基準は改正されることがあるため、最新の内容は各公的機関の公式サイトや、専門家(建築士・税理士・金融機関など)でご確認ください。「筆者の見解」は一つの考え方です。