不動産売買の本人確認が2027年4月から変更、ICチップ読取りが必須に
2027年4月1日施行の改正犯収法施行規則で、不動産売買の本人確認が変わります。ICチップ読取りの必須化、B群書類の扱い、売る人・買う人の備えを整理します。
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不動産の売買で行われる本人確認のルールが、2027年4月1日から変わります。改正された犯罪収益移転防止法施行規則が施行され、ICチップのある本人確認書類はICチップ情報の読取りが必須になり、顔写真もICチップもない書類の一部は、不動産取引の本人確認書類として原則使えなくなります。不動産業の6団体で作る連絡協議会がこの改正点をまとめた資料を2026年10月に公表し、不動産流通推進センターと全日本不動産協会が案内しました。土地や住宅を売る人・買う人が、いつ、何に備えればよいかを整理します。
ニュースの概要
不動産流通推進センターのページは、「2027年4月より、改正された犯罪収益移転防止法施行規則が施行されます」と案内し、「本人確認の方法が大きく変わります」と記しています。全日本不動産協会は2026年10月6日付で、同じ資料を紹介するお知らせを掲載しました。資料を作ったのは「不動産業における犯罪収益移転防止及び反社会的勢力による被害防止のための連絡協議会」(不動産流通推進センターが事務局)で、「主要改正点」と「ICチップ情報の読取り方法」の2つがあります。
連絡協議会の資料によると、改正のポイントは5つです。(1) ICチップのある書類(顔写真付きのA群)はICチップ情報の読取りが必須になり、ICチップのない書類は取引関係文書を転送不要郵便物等で送ることが必須になる、(2) 顔写真のない1枚だけ発行される書類(B群)は原則として使えなくなる、(3) 複数枚発行できる書類(C群)は偽造防止措置が講じられた公的書類に限られる、(4) 書類の「画像」や「写し」を送る本人確認方法は、海外居住者などを除いて廃止される、(5) 確認記録でのICチップ情報の保存の扱いが対面と非対面で異なる、というものです。
何が変わるのか
対象になる取引
資料の表では、犯罪収益移転防止法の取引時確認の対象は、不動産では「売買」と「売買の代理・媒介」です。交換、交換の代理・媒介、貸借、貸借の代理・媒介は、この法律上の対象ではないと示されています。宅建業法は別に適用されます。確認するのは不動産業者で、業者の立場によって、売主・買主のどちらを確認するかが変わります(売る人も対象になりえます)。取引の相手が法人の場合は、法人のほか、実際に取引を行う個人の確認も必要と書かれています。
本人確認書類の3つの分類と、改正後の扱い
- A群(顔写真のある1枚だけ発行される公的身分証明書): マイナンバーカード、運転免許証、旅券、在留カードなど。ICチップがあるものは、ICチップ情報(氏名・住所・生年月日・顔写真)の読取りが必須になります。運転経歴証明書や宅建士証などICチップのないものは、不動産業者が書類に記載の住所へ、取引関係文書を書留郵便などの転送不要郵便物で送る措置が必要になり、対面取引に限られます。
- B群(顔写真のない1枚だけ発行される公的身分証明書): 各種健康保険の資格確認書、母子健康手帳、国民年金手帳など。このうち顔写真もICチップもないものは、海外居住者などの例外を除き、不動産取引の本人確認書類としては原則使えなくなります。ただし、現住所の証明を補う「補完書類」としては使えます。取引に使った印鑑の印鑑登録証明書は、B群からC群に変わります。
- C群(顔写真がなく複数枚発行できる公的書類): 住民票の写し、印鑑登録証明書、戸籍の附票の写しなど。改ざん防止の専用紙に印刷された、偽造防止措置のある公的書類に限られ、コピーの提示は原則として廃止されます。対面では原本の提示に加えて、書類に記載の住所へ転送不要郵便物の送付が必要です。
資料では、マイナンバーアプリを使った公的個人認証サービス(JPKI方式)や、電子証明書の送信を受ける方法などは、引き続き使えると書かれています。
非対面(オンラインや郵送)の取引
非対面の取引では、本人確認書類の「画像」や「写し」を送る方法が、海外居住者・短期在留外国人・外国法人などを除いて原則廃止されます。ICチップのない1枚だけ発行される書類は、顔写真の有無にかかわらず、原則として本人確認書類に使えなくなります。ICチップのあるA群書類では、本人の顔画像とICチップ情報を送る方法に切り替わります。偽造防止措置のあるC群書類の原本を送る方法や、郵便事業者などの本人確認代行を利用する方法は、引き続き使えると資料に書かれています。
読者への影響
- 2027年4月以降に土地・住宅を売買する人: 売買の手続きで、本人確認書類の提示を求められる場面が想定されます。マイナンバーカードや運転免許証など、ICチップ付きの書類を用意し、ICチップ情報の読取りを受ける流れが中心になります。
- 運転免許証を返納した人など: 運転経歴証明書のようにICチップのない書類は、対面取引に限られ、書類に記載の住所あての転送不要郵便の受け取りも加わります。住所と実際の住まいが違う人は、受け取れずに確認が止まるおそれがあります。
- オンラインで完結させたい人: 書類の画像を送る方法は、原則として廃止されます。残る方法(JPKI方式、ICチップ情報の送信など)が使えるかどうかは、不動産業者に確認してください。
- 賃貸で借りる人: 資料の表では、貸借は犯罪収益移転防止法の取引時確認の対象外です。仲介会社を通す場合は、宅建業法などにもとづく一般的な本人確認が行われることがあります。
確認すること
- 2027年4月1日以降に売買契約を結ぶ予定かどうかを確認する。資料には、施行日の前後にまたがる取引の扱いは書かれていないため、該当しそうな場合は不動産業者に確認する。
- 自分の本人確認書類が、ICチップ付きのA群書類か、ICチップのない書類かを確認する。マイナンバーカードは有効期限を確認し、オンライン(JPKI方式)で手続きする場合は、電子証明書の暗証番号と有効期限も確認する。
- 不動産業者に、どの方法で本人確認を行うか、必要な書類と手順(対面か非対面か、転送不要郵便の送付があるか)を事前に聞いておく。
- 詳しい内容は、不動産流通推進センターのページ(出典1)と、連絡協議会の資料(出典2)で確認する。
筆者の見解
私見では、今回の改正で手続きの負担が最も増えるのは、マイナンバーカードを持たず、運転経歴証明書などで本人確認をしてきた高齢の売主・買主だと考えます。ICチップのない書類は対面取引に限られ、書類に記載の住所あての転送不要郵便も必要になるため、遠方の実家を売るような場面では、日程の組み方から変わる可能性があります。
住み替えの途中で書類の住所と実際の住まいがずれている人は、郵便を受け取れずに確認が止まるおそれがあると考えます。2027年春以降に売買を予定している人は、誰が・どの書類で・対面か非対面かを、媒介契約の段階で業者とすり合わせておくのが現実的だと考えます。なお、家づくりでは改正建築士法による設計・工事監理の書面契約の対象拡大(2027年4月)も同じ時期に動くため、あわせて確認しておくとよいでしょう。
出典(一次情報)
- 不動産業における犯罪収益移転防止法等に関する連絡協議会、その他(不動産流通推進センター)
- 犯罪収益移転防止法施行規則 2027.4施行 主な改正点 など(不動産業における犯罪収益移転防止及び反社会的勢力による被害防止のための連絡協議会)
- 【重要】犯罪収益移転防止法施行規則 改正点のあらまし(令和9年4月施行)(全日本不動産協会、2026年10月6日)
2026年10月12日時点の情報です。
本記事は一般的な情報の提供を目的としており、個別の設計・契約・税務・法律上の助言ではありません。制度や基準は改正されることがあるため、最新の内容は各公的機関の公式サイトや、専門家(建築士・税理士・金融機関など)でご確認ください。「筆者の見解」は一つの考え方です。